:2017/06/04  :2019/01/27

猫の耳カットとは?なぜ耳の先をカットしている野良猫がいるの?

片耳がVの字にカットされている猫や、耳の先端が切れている猫を見たことがありませんか?特に猫島や猫の楽園などと呼ばれている、猫と人間が共存している地域ではその数が多い傾向にあります。「怪我したのかな?」「喧嘩のあと?」など疑問に思った方もいるかもしれませんね。

実はあの耳のカットには重要なメッセージが隠されているんです。また右と左、どちら側をカットしているかでもその意味は変わってきます。今回は猫の耳カットについて調べてみようと思います。

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猫の耳カットとは?

猫の耳カットとは

●耳の先端1㎜~2㎜ほどを切り落とす
●耳の先端や外側をVの字にカットする

ことをいいます。中にはピアスを付けている子もいますが、意味は耳カットと同じです。

なぜ耳をカットするの?

耳のカットには【避妊・去勢手術済み】ですよ、というメッセージが込められています。カットされるのは野良猫や地域猫で、飼い猫に行われることはありません。

行っているのは主に動物愛護団体や保護団体です。このような団体がボランティアで、野良猫の避妊・去勢手術をしているという話をあなたも見たり聞いたりしたことがあるかもしれませんね。

猫は発情期の交尾での妊娠率が90%以上といわれています。そのため手術をしていない猫をそのままにしておくと、野良猫の数が増えて様々な問題が生じます。

例えば……

●生ゴミを荒らされた!
●庭の花壇をトイレ代わりにされた!
●大切な庭木で爪とぎされた!
●発情期の声にストレスがたまる!

そして一番の問題が

●軒下で仔猫を産んでいた!

というもの。

猫のかわいさを知っている愛猫家でも出産は一大事ですし、命への責任は大きいもの。ましてや猫が苦手な人やアレルギーで悩んでいる人だったら憎しみが生まれても仕方がないことです。

このような猫の運命はお話ししなくても想像に難くないですよね。猫が地域に疎まれ、嫌われないようにするためにも避妊・去勢は大切な手術です。

そのため保護団体やボランティア活動をしているチームがいったん野良猫を保護し、手術を終えたらまた地域に帰しています。

その時、手術が終わった猫かどうか一目で分かるようにした目印が耳のカットです。野良猫は人間に対して警戒心を持っているのが一般的ですので、お互いのためにも効率的に保護・手術するために考えられた方法だといわれています。

その歴史は諸説ありますが、日本では1997年に神奈川県横浜市の磯子住民が共同で保護・手術・飼育することで猫と地域の共存を始める運動を始めたことが全国に広がったようです。

ちなみに

●右耳の先端のカット・Vの字カット……去勢手術済みのオス猫
●左耳の先端のカット・Vの字カット……避妊手術済みのメス猫

なんですよ。

TNRとは?

TNRとは、

TTrap)……捕獲】

・猫を傷つけない方法で捕獲する
・捕獲機には目的と団体名、連絡先を明記する
・捕獲機を仕掛けている間は、目を離さない
・猫が捕獲されたら速やかに保護する。
・怖がらせないように布や毛布で捕獲機を覆う

NNeuter)……不妊手術】 

・不妊手術を行う
・目印として耳をカットする
・麻酔をかけて行うので耳カットは痛くないし、出血も少ない

RReturn/Release)……元の場所に戻す・解放する】

・術後の経過をしっかり観察
・捕獲した場所で解放する

の略で、野良猫を保護し、不妊手術をしたあと、元いた場所に解放するという一連の活動のことをいいます。

動物愛護団体や保護団体が寄付を募って集まったお金で行っていたり、運動の趣旨や目的に賛同した獣医師が無料で行っています。

耳をV字にカットした様子が桜の花びらのように見えることから、「さくらカット」「さくら運動」などとも呼ばれています。

この活動をすることで

1、 性格が穏やかになり猫同士のケンカが減る
2、 発情しなくなるので、鳴き声に悩まされることがなくなる
3、 糞尿のにおいが減る

というメリットがあります。

地域の住民に猫との共存を理解してもらうためにも、猫の生理現象によって起こるトラブルを減らすことはとても大切なこと。また野良猫の数を抑制することにもつながりますので、今注目されている活動です。

地域猫と野良猫の違いは?

そもそも地域猫と野良猫の違いはどこにあるのでしょうか。

地域猫の特徴は

●特定の飼い主がいない
●地域に住む人々が共同で飼育や管理をしている
●餌やり、糞尿の清掃、不妊手術を行う
●ワクチンの接種をしている場合もある
●猫に関する住民同士のトラブルを地域猫の世話人が解消する

ということ。

つまり、不妊手術を終えていて、地域の人々が共同でお世話全般をしているけれど、特定の飼い主がいない猫たちのことです。

一方の野良猫は不妊手術をしていないので仔猫が生まれることにつながりますし、糞尿のトラブルも後を絶ちません。地域猫はこの問題点をクリアしているんです。

「だったら自宅で飼えばいいじゃないか!」

という声も聞こえてきそうですね。もちろん、そのように地域猫になった子を自宅に迎えている方もたくさんいます。

多くのボランティアさんが多頭飼育をしながらお世話していますが、住宅事情や家族構成、経済状況によって保護できる猫に限りがあるのが現状です。また猫は集団生活を嫌い、縄張り意識がとても強いので多頭飼育が原因でストレスや怪我を引き起こし、かえって不幸にしてしまうことも。

ですので「自由に暮らしていいけれど、その代わりご飯の面倒だけじゃなく糞尿のお世話もするし、これ以上増えないように不妊手術をしましょうね」というのが地域猫と地域住民とのスタンスです。

「じゃあ野良猫のままでいいんじゃないの?」

これも自然な疑問かもしれませんが、野良猫を増やさない、もっと言えば野良猫の根絶のための仕組みが地域猫なのです。

野良猫を放置すると何代にもわたって野良猫が増え続け、結果的に殺処分されることになったり地域で疎ましがられたりして、なにもいいことがありません。

地域猫にすることによってその猫は「一代限りの命」となり、殺処分の対象外になります。そしてご飯やトイレの心配なく地域の人々に愛されながら天寿を全うすることができるようになるのです。

また、地域猫のシステムは猫が苦手な人にも大きなメリットがあります。不妊手術によって発情・繁殖しなくなるので鳴き声に悩まされることがなくなります。

地域猫を支援する住民がトイレを用意、始末をするので敷地内での糞尿被害がなくなりますし、何か困ったことがあれば相談すれば対処してもらえるので一人で抱え込まなくてもよくなります。

野良猫ではなく、地域猫として対策・保護することが、お互いが距離感を保ちながら生活する方法の一つであることは間違いないようです。

まとめ

野良猫も元をたどれば誰かに飼われていた猫だったかもしれませんし、無責任にえさだけ与えた結果、生まれた命かもしれません。猫の生理現象やその性質から好きな人も嫌いな人もいるのが現実です。

ですが、人間もそうであるように野良猫だって生まれてきたことには何の罪もありません。今回耳カットの意味や歴史をご紹介してきましたが、ただの「不妊手術済み」の目印だということだけではなく、様々な思いや活動が裏にあるということがお分かりいただけたと思います。

もしあなたのお住いの周辺で耳カットしている猫を見かけたことがあるなら、誰かが近くでTNR活動をしているということです。支援者になるということは覚悟も必要ですし、責任も生まれます。

誰もが簡単にできることではありません。もし地域猫があなたのもとにふらりとやってきたら、温かく見守ることから始めてみませんか?


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